聞き間違い

 このところ、吉村智樹編集長の「日刊耳カキ 」内、 ワードゲームの庭にアクセスする回数が増えている。というのも、今週のお題が「聞きまつがってください」なのだ。もうとにかく作為もなく平気で聞き間違う日常を送っているわたしにとって、このお題はまさにカミサマがくれたお年玉、俄然書き込み欲も上がるというものだ。
 聞き間違いは、似た音へと間違うだけでなく、意味にも引きずられる。局所的な音レベルの聞き間違いがボトムアップ的に全体の意味の取り違いへと波及し、そこからさらにトップダウン的に別の局所的聞き間違いを引き起こす。この、音レベルと意味レベルの綱引き加減が聞き間違いの醍醐味なのだが、「ワードゲームの庭」の投稿欄にはとんでもないセンスの方々がおられて、じつにバランス感覚のある味わい深い聞き間違いにうならされる。たとえばわたしが投げた
 「こまわり君ちゃうかね、頑強に吠えているこれは」「サイババです」
 という意味不明な聞き間違いに対してこんなのが返ってくるのだ
 「 こまわり君ちゃうかね、八丈に増えているこれはキョンです」
 がきデカ読者ならではの意味のねじ曲がりに乗せ、しかもしっかり音を合わせながら聞きまつがってくるこのテクニック!いや、聞き間違いにテクニックもくそもないというなら、いっそ天賦と言わせていただこう。そして、
 「長崎方言で、太陽にほえろ!をどう表現?」
 と、単に聞き間違えただけの疑問文に、なんと聞き間違いによる答えが返ってくる。
 「城之崎の方言で、『太陽に耐えろ』は『びょんびょん』です」
 お互い聞き間違いなのに、「あ、そうなんや?」と思わず合いの手を入れたくなるすばらしさ。