2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

特集ムーンライダーズにアンケートを書いた

ムーンライダーズの魅力は斉唱にあると思う。「スカンピン」「くれない埠頭」「Y.B.J.」、斉唱が印象的な曲は、たいてい好きになる。 一斉に唄っているものの、歌詞の内容はたいていひとりぼっちだ。彼らは同じ歌を唱えることで、同じ月のしるしを帯び始める…

アーカイヴ感とカットアップ

一昨日のテイ・トウワのサウンドストリートで、宇川直宏氏が盛んに「アーカイヴ感」ということを言ってておもしろかった。確かにあるまとまったものをメガミックスすると、その元ネタが持っている肌理のようなものが前に浮き出てくることがある。 で、我田引…

コラテラル

夜だ、夜だなあ。ひたすら夜のタクシー内シーンが続き、ロサンジェルスでタクシーの、あの、行くあてのなさぐあいが思い出される。そんなアホな、という設定が随所に見られるが、これは緻密なストーリーに裏打ちされたスナイパー映画というよりも、犬と鹿と…

テクストBBSの可能性 (初出:Cape-X 1996 Mar, April)

−構成されるできごと、できごとの不在− さてBBSですがそれにしてもインターネット。「パソコン通信とかBBSっておたくの世界なんじゃ?」と思ってた人たちが昨年(1995)のブームで「これからはインターネットだよな」なんて調子いいこと考えてたりする今…

教科書載ニッポンインターネット歴史教科書で思い出したこと

日記タイトルではひらがなを省略しちゃいましたが、ばるぼら「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書」(翔泳社)。ぼくが熱心にあちこちのサイトを見ていたのは1995-96年くらいなのだが、その頃に見ていて目についたものはほとんど網羅さ…

高田和子 Sangen Space No.4「帰ってきた<糸>

京都造形大学の春秋座で高田和子 Sangen Space No.4「帰ってきた<糸>」。 高田和子の弾き語りで始まる。弦を弾いたあとにさっと指で触ってこだまを出すところにしびれる。唯是震一「遠野」、とりわけ、二曲目の「おっとーん」。 「ユーラシアン・タンゴ」…

塩の迷路

ギャラリーそわかの地下は、山本基による塩の迷路。これは美しかった。迷路と塩の境界域あたりを見つめていると、白い砂塵がもやっているように見える。そこから向こうには塩の丘、塩の岩。明らかに鉱物とは異なる透明感とこわれやすさを感じさせる。そして…

夢の箱、夢の光源

The Road not Taken '05会場のひとつ、ギャラリーそわかの二階と地下にやられた。 二階の倉本麻弓作品は、手に乗るほどの34個の箱の中に彼女の夢を記述したもの。それが、いわゆる美しい夢とは違って、むしろつげ義春のマンガにも通じるような夢見の世界で、…

振り返ることの再現

今日の「きらきらアフロ」でも、松嶋の「時空間ルーペ」が出た。 今日のエピソードはけっこう複雑で、これまた松嶋の得意技である「後日譚による思いがけない展開」だったので、詳しい説明は略す。 問題の箇所は、「見たことはあるのだがしかとは思い出せな…

夢を揺さぶる顔

「きらきらアフロ」における鶴瓶のトークで、とくに注目すべきは人物の交替。落語では上下をつけることによって人物の区別をつけていくことが多いが、鶴瓶はこれ以外に、正面を向いたまま瞬時に人物を変える技をいくつか持っていて、これがすごいのだ。 「東…

時空間のルーペ

「タイで松嶋尚美が番傘をふっかけられた話」(2003版)で、松嶋尚美は、安い店を通り過ぎるところを描写するときに、いったん「別の店があってんやん」と図解的視点を取り、そのあといったんわざわざ体をバックさせて、もう一度、そこを通り過ぎるところを物…

POPO、Brazil、カリフォルニアドールズ@大阪ブリッジ

夜、新世界Bridgeへ。POPO、Brazil、カリフォルニアドールズという豪華メンバーによるライブ。 POPOはトランペット二本とオルガンという変わった編成のユニット。これが予想外によかった。ときおりスチュアート・モーハムを思わせる、ラインのはっきりしたハ…

冥界鉄道の旅

大谷能生さんから未発表の「鏡の国のデューク楽団」。1942年、デューク楽団の旅物語。大城のぼるの「汽車旅行」のように楽しく読み進めていくと、なんとこれが、死者がレコードに針を落として生者を蘇らせるという話なのだ。おもしろかった! これ読んでから…

トークの視線

2003版収録の「松嶋尚美がタイで番傘の値段をふっかけられた話」というのを分析した。 話の前半では、松嶋尚美は観客のほうを向いて、TV収録で行ったタイのマーケットで番傘を買ったエピソードを語っている*1。ところが、よその店ではるかに安値で売っている…

子音スローモーション

次のセットはカヒミ・カリィ+ONJO。昨日と違って、減衰するビブラフォンではなく持続するサイン波が入り、ホーンセクションを増やした。大友さんはそのホーンの対面に座るという配置。浜田真理子が母音の人ならカヒミ・カリィは子音の人。声帯の震えによっ…

唄うパワー・オブ・テン

ワッツタワーズには圧倒された。変拍子自在のバンド歌唱をカタパルトにして、途中、ヴォーカルとピアノの「ヒゲの未亡人」スタイルによって宇宙に飛び出し、再びバンド演奏に戻ってくるそのさまは、あたかも「唄うパワー・オブ・テン」。「吉田寮」や「メト…

歌謡曲と街の灯

あと、泣けたのは高良さんのビブラフォンで、ときおりバンド演奏の休止符で表われるその響きから、「街の灯」ということばが思い浮かんだ。 ぼくは歌謡曲というのは「都会のねずみと田舎のねずみ」の話だと思っていて、それは演歌が真正面からふるさとを唄う…

「ゆ」の揺れ

浜田真理子+ONJO。じつは浜田さんの歌を聴くのはCDも含めて今回が初めてだったのだが、一曲めの「Beyond」冒頭で一気に引き込まれた。いちばん最初の曲の出だしの音というのは、恐ろしいほどの緊張を強いるものだと思う。その「ゆこうよ」ということばの「…

コンクリート感覚

京都へ。薄荷葉っぱ(オクノ修の「去年の夏」のカバーたのし)、トウヤマタケオ楽団と、ナイーヴで明るい演奏のあと、コンビニに走り、リポDで気合いを入れてから、ぐぐっと夜に傾斜。山本精一+羅針盤(大友良英ヴァージョン)。世界の果てにカミサマを置く…

確かさとせわしなさ、あるいは因果交流電燈

コグさんからインターバル撮影映像いただく。コグさんの買ったばかりのデジカメについていたインターバル撮影と、彼女の趣味の園芸とが出会ったとき、この驚くべき映像群が誕生した。コグさんはこのところ、ベランダに毎日しかけるために、デジカメを外に持…

ピアニシモは、音の小ささだけを意味するのではない

Filament Boxを少しずつ聴いている。CDでは音量が調節できるので、ライブのように、座る位置によって音量が決まってしまうわけではない。しかし、CDのボリュームを上げるということは、大きい音のライブを聴くと言うことではない。ピアニシモの演奏のボリュ…

ブログ作法トークショーパーティー

オフサイトを辞して麻布十番に。本当はもっといろいろな人とお話すればよかったのだが、パーティーというのがすこぶる苦手で(ならば来なければよいのだが、来る前はいつも苦手が克服できそうな気がするのだ)、完全にソファの片隅に引きこもってしまった。…