POPO、Brazil、カリフォルニアドールズ@大阪ブリッジ

 夜、新世界Bridgeへ。POPO、Brazil、カリフォルニアドールズという豪華メンバーによるライブ。

 POPOはトランペット二本とオルガンという変わった編成のユニット。これが予想外によかった。ときおりスチュアート・モーハムを思わせる、ラインのはっきりしたハモンドオルガンの音がすばらしく、メロディも泣かせる。ラッパ二つの訥々とした演奏も、いかにも「ぴこぴこ」ではなく「ぽぽ」にふさわしい響き。よけいなもののない音楽。聞きながら、いろんな歌が思い浮かんだ。
 
 CD「Kibou」がすばらしい出来だったBrazil。新曲でいきなり西崎さんが「歌手さん〜唄いすぎですよ」と歌い始め、大いに脱臼させられる。「大工さん」とか「板前さん」というのは聞いたことがあるが「歌手さん」というのは聞いたことがない。もちろん、「歌手」も職業名である以上「さん」を付けてもよい理屈ではある。理屈ではあるが、ふつう、誰もそんなことを思いつかん。伴奏はギター、ベースにアイリッシュドラムというこれまたヘンテコな編成なのだが、歌のボリュームと見合って、広々と抜けのよい演奏。
 Brazilには謹んで「心に響く妄言」というコピーを捧げたい。
 
 さて、ある意味でこの日いちばんの問題はカリフォルニア・ドールズだった。前二バンドがコントロールされたボリュームによって空間の抜けぐあいを聞かせる、ある意味「地味」な演奏だったのに対し、カリドルは、明らかに攻めのサウンド、攻めのルックス。若者がひしめくライブハウスであれば、この攻めぐあいこそ歓迎なのであり、そのほうが演じるほうも気合いが入ったに違いない。が、ここは、ただでもおっさん磁場の強い新世界、加えてわたしを筆頭にいささか隠居じみた空気を漂わせた場内は、その攻めぐあいにいささか戸惑い気味に感じられた。
 CDでは二人のぶっ壊れた日本語が聞き所のひとつなのだが、この日の演奏では楽器の音が大きいせいでやや「日本語」として聞くのが難しかった。ことばの意味がわからない外国であれば、ヴォイス・パフォーマンスとして間違いなく受けると思う。が、日本語を理解する者としては、日本語からの偏差を「壊れっぷり」として聞き取りたいところなのだ。そこがちょっと惜しい感じ。とはいえ、セッティングのボリューム調節次第で、まったく違う印象になるのではないかと思う。
 
 聞けば、演奏前にアミちゃんはSPAワールドを攻め、和田さんは近所の銭湯を攻めていたという。新世界磁場との戦いはすでに始まっている。おっさんの空気をねじ伏せる日も遠くないだろう。