塩の迷路

 ギャラリーそわかの地下は、山本基による塩の迷路。これは美しかった。迷路と塩の境界域あたりを見つめていると、白い砂塵がもやっているように見える。そこから向こうには塩の丘、塩の岩。明らかに鉱物とは異なる透明感とこわれやすさを感じさせる。そしてこんなに透明でありながら、やはりそれは塩なのだから、湿度を招くのだろうなとも思う。それが証拠に、目の前に描かれた塩の迷路は、砂のような乾いた質感とは異なり、空気中の水分をつかまえて固化しそうな、親水性を漂わせている。
 これから触手をさらにのばそうとするかのように手前で途切れている出入口をきっかけに、しばらく細かな迷路を目で追ってみたが、中に行くほどに、こちらの呼気を薄くするような緊迫感を感じてしまい、途中であきらめてしまった。