振り返ることの再現

 今日の「きらきらアフロ」でも、松嶋の「時空間ルーペ」が出た。
 今日のエピソードはけっこう複雑で、これまた松嶋の得意技である「後日譚による思いがけない展開」だったので、詳しい説明は略す。
 問題の箇所は、「見たことはあるのだがしかとは思い出せない人」とすれ違ったときの描写。ここで、松嶋はすれ違う様をいったん図解的に示しつつ、しかもすれ違いざまの相手の表情や声を真似る(手で鳥瞰的に世界を表わしながら、声と顔は物語の中を拡大するというマルチモーダルな表現!)。そして、そこから時間を逆戻しにして、今度はすれ違ってもしかとは思い出せない自分の表情を演じる。

 事件が現われるその衝撃を最後まで隠しながら、しかも状況をわかりやすく話すには、何をどこで明らかにするか、その順序とタイミングがとても重要になる。日常生活において、ぼんやりしているところにハッと事件が現われる、というのはおそらく松嶋尚美の天性の才能なのだろう。しかし、それをトークとして再現するにあたって、彼女はものすごく説明の組立てを考えているに違いない。