スーパーマーケット・ラーニング

 あと、見逃せないのが、ポップスのMIDI化、そして、われわれを取り巻くMIDI音楽の氾濫。
 たとえば昨日紹介した「ロックイット」」のMIDI版。これぞヤマハ・メソッドの産物! これ、すごいことやってるよ。絶対音感駆使して、スクラッチから無理矢理音程拾い上げてるんだから。「ロックイット」のイントロを飾るグランドマスターのスクラッチが「どどどどれれれれみみみみふぁふぁそら、そらっそらっそ、ふぁ!」だったなんて誰が予測できただろう。
 この例が端的に示しているように、スクラッチとかラップといった楽音を拒否するべく編み出された工夫は、皮肉にも、ポップス化>MIDI化という過程を経て楽音化されてしまってるわけです。

   で、じつをいうと、こういう音楽はなにもインターネットの片隅にのみ偏在するのではない。それどころか、こういう音楽は有線やカラオケを通じてどんどん流通してるわけです。スーパーマーケット・ミュージック((c)ヨシマルシン)!郊外のスーパーなんかいくと、ひと昔前の小室サウンドがかかってて、しかもMIDI化されてるもんだからマーク・パンサーのラップが単音で「ドドドドドドドド、ドドッ、ドドドド〜」なんて演奏されてるんだけど、みんなそれで平気なのか? 平気なんだろうなあ。たぶんこんなの聞きながらお子様は、「これすごくへんだけど、でもこれは仮の音楽であって、ほんとはもっと違う音楽なんだろうな」てな具合に、楽音を出発点に、自分勝手にメソッドを抽出することを学習するわけですよ(推測)。