石塚公昭「乱歩 夜の夢こそまこと」(パロル舎)

石塚氏がこつこつと作り、撮り続けてきた乱歩絵物語。人形の制作からプリントまで、さまざまなテクニックを組み合わせながら進む、襞に織り込まれてゆくがごときその虚実のあわいは唯一無二。 たとえば二十面相の、いい意味で下卑た粘土顔は、怪人二十面相フ…

発売しました

二桁のかけ算 一九一九(イクイク) (黒松ブックス)作者: かえるさんとガビンさん,ロビン西出版社/メーカー: ライブドアパブリッシング発売日: 2005/09/09メディア: 新書購入: 3人 クリック: 46回この商品を含むブログ (44件) を見るというわけで出ましたです…

実家に帰るたびに聞かされる母親の昔の話の多くは、子供の頃から聞かされてきたことの繰り返しではあるのだが、それでも年々に、少しずつ語り方も変わるし、こちらのたずね方も変わってくる。同じ話だと思って聞いているうちに、知らなかった話が思いがけず…

ラジオ 沼:「バ  ング  ント展」放送リンク

先月末から六本木P-Houseで行われている「バ ング ント展」 に関するmp3をリンクしておきます。271回は初日、276、276回は8/15に行ったときの話です。http://sweet.podcast.jp/home/numa/media/release/main/2005/08/radio_21_021627_0.mp3第276回 (Sachiko …

8/16の記

夕方、渋谷のO-Crestへ。ワッツタワーズ。京都で見たときと同じネタなのかと思っていたのだが、アドリブのほとんどはまったく違う内容だった。テーマはずばり玉音、というべきか。 岸野さんのアドリブのスリリングなところは、途中でとつぜん論理をすっとば…

「バ  ング  ント展」8/15

朝、東京へ。宿に荷物を置いて、昼過ぎに六本木P-Houseのへ。まださほど人はいなかった。 白い箱を気にしながらも、まずは奥の展示を落ち着いてみようと思う。床を這う枯れたツタをよけながら、その根元に目をやると、プランタの土からいくつもの植物の芽が…

ライブのおしらせ

大阪築港赤レンガ倉庫にて、パフォーマンストークを行なう予定です。 Sound Art Lab vol.2 sun and escape現象と干渉〜音にならないオトを聴く8/7 19:00- 出演:exonemo, 坂出達典, 細馬宏通 (要予約)

ブラスバンドの社会史―軍楽隊から歌伴へ

ブラスバンドの社会史―軍楽隊から歌伴へ (青弓社ライブラリー)作者: 阿部勘一,塚原康子,高沢智昌,細川周平,東谷護出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2001/12/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 昨年のクリスマス・イブ、メキ…

ちょっと公開

Liliput(POPOバージョン)@chef-d'ouever 大阪 (July 2 2005)。録音機が遠すぎたためとても演奏が遠い。でも、こういうのこそネット向きでは?Tpt.は江崎さんと山本さん。

かえる目@名古屋

全員起きると昼過ぎ。かわりばんこにシャワーを浴び、東海道線へ。 彦根のタクシーではバルブもなか話に和する運転手、名古屋でタクシーで、グレン・ミラーと寺内タケシを称賛しビートルズの歌唱力に疑問を呈する運転手。今日はタクシーが大アタリだな。 ま…

かえる目@大阪

大阪は四ツ橋、シェ・ドゥーヴルへ。 今回のかえる目は、中尾さんがドラム(といってもスネアとシンバルのみ)に入ったことで、ぐっと軽音楽らしさが増した。軽く一曲やっただけで、きのう宇波くんのディレクションのもとわたし抜きで行なわれたリハがしっか…

かえる目ライブのご案内

さて、ライブをします。かえる目(もく)。 お時間のある方はぜひ。 7/2(sat) ギャラリーchef-d'oeuvre start 19.00 - 2000(1ドリンク付) かえる目 細馬宏通:vo 宇波拓:g 木下和重:vil 中尾勘二:per,dr POPO 喜多村朋太・org 山本信記・tp 江崎将史…

ミュージカルバトン

神田ぱんさんとid:morohiro_sさんとid:dotimpactさんからミュージカルバトンをいただきました。 というわけでさくっとかいちゃおう。Total volume of music files on my computer (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量):15.72GB Song playing right …

ロックを聴いたのだがことばがわからなかった場合

先日、金沢あたりでカーラジオから流れてきた楽曲にしびれて買い込んだ「東京ビートニクス」vol.1,2。数年前に出たもので、知っている人には何をいまさらだろうけれど、全曲妄想をかきたてる出来で楽しめた。とくに、「火の玉ロック」をはじめとする井田誠一…

ラドゥ・マルファッティ、クラウス・フィリップ、杉本拓、宇波拓

6/2、京都三条のギャラリー射手座で四人の演奏。左からラドゥ、クラウス、宇波、杉本の順番で配置。最前列で座布団の敷かれた床に座って鑑賞。 とても不思議な演奏だった。全員、アタックが違うのである。 杉本拓の柔らかいギターのアタックの後に、ラドゥの…

シャンドール ピアノ教本で開眼(した気になる)

「シャンドール ピアノ教本」(岡田暁生 監訳/春秋社)を手に入れてからというもの、ピアノの弾き方がまったく変わってしまった。ぼくは、小学校のときにバイエルを途中であきらめたっきり、ピアノを誰かに習った経験がない。中学に入ってから、まったく自…

特集ムーンライダーズにアンケートを書いた

ムーンライダーズの魅力は斉唱にあると思う。「スカンピン」「くれない埠頭」「Y.B.J.」、斉唱が印象的な曲は、たいてい好きになる。 一斉に唄っているものの、歌詞の内容はたいていひとりぼっちだ。彼らは同じ歌を唱えることで、同じ月のしるしを帯び始める…

アーカイヴ感とカットアップ

一昨日のテイ・トウワのサウンドストリートで、宇川直宏氏が盛んに「アーカイヴ感」ということを言ってておもしろかった。確かにあるまとまったものをメガミックスすると、その元ネタが持っている肌理のようなものが前に浮き出てくることがある。 で、我田引…

コラテラル

夜だ、夜だなあ。ひたすら夜のタクシー内シーンが続き、ロサンジェルスでタクシーの、あの、行くあてのなさぐあいが思い出される。そんなアホな、という設定が随所に見られるが、これは緻密なストーリーに裏打ちされたスナイパー映画というよりも、犬と鹿と…

テクストBBSの可能性 (初出:Cape-X 1996 Mar, April)

−構成されるできごと、できごとの不在− さてBBSですがそれにしてもインターネット。「パソコン通信とかBBSっておたくの世界なんじゃ?」と思ってた人たちが昨年(1995)のブームで「これからはインターネットだよな」なんて調子いいこと考えてたりする今…

教科書載ニッポンインターネット歴史教科書で思い出したこと

日記タイトルではひらがなを省略しちゃいましたが、ばるぼら「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書」(翔泳社)。ぼくが熱心にあちこちのサイトを見ていたのは1995-96年くらいなのだが、その頃に見ていて目についたものはほとんど網羅さ…

高田和子 Sangen Space No.4「帰ってきた<糸>

京都造形大学の春秋座で高田和子 Sangen Space No.4「帰ってきた<糸>」。 高田和子の弾き語りで始まる。弦を弾いたあとにさっと指で触ってこだまを出すところにしびれる。唯是震一「遠野」、とりわけ、二曲目の「おっとーん」。 「ユーラシアン・タンゴ」…

塩の迷路

ギャラリーそわかの地下は、山本基による塩の迷路。これは美しかった。迷路と塩の境界域あたりを見つめていると、白い砂塵がもやっているように見える。そこから向こうには塩の丘、塩の岩。明らかに鉱物とは異なる透明感とこわれやすさを感じさせる。そして…

夢の箱、夢の光源

The Road not Taken '05会場のひとつ、ギャラリーそわかの二階と地下にやられた。 二階の倉本麻弓作品は、手に乗るほどの34個の箱の中に彼女の夢を記述したもの。それが、いわゆる美しい夢とは違って、むしろつげ義春のマンガにも通じるような夢見の世界で、…

振り返ることの再現

今日の「きらきらアフロ」でも、松嶋の「時空間ルーペ」が出た。 今日のエピソードはけっこう複雑で、これまた松嶋の得意技である「後日譚による思いがけない展開」だったので、詳しい説明は略す。 問題の箇所は、「見たことはあるのだがしかとは思い出せな…

夢を揺さぶる顔

「きらきらアフロ」における鶴瓶のトークで、とくに注目すべきは人物の交替。落語では上下をつけることによって人物の区別をつけていくことが多いが、鶴瓶はこれ以外に、正面を向いたまま瞬時に人物を変える技をいくつか持っていて、これがすごいのだ。 「東…

時空間のルーペ

「タイで松嶋尚美が番傘をふっかけられた話」(2003版)で、松嶋尚美は、安い店を通り過ぎるところを描写するときに、いったん「別の店があってんやん」と図解的視点を取り、そのあといったんわざわざ体をバックさせて、もう一度、そこを通り過ぎるところを物…

POPO、Brazil、カリフォルニアドールズ@大阪ブリッジ

夜、新世界Bridgeへ。POPO、Brazil、カリフォルニアドールズという豪華メンバーによるライブ。 POPOはトランペット二本とオルガンという変わった編成のユニット。これが予想外によかった。ときおりスチュアート・モーハムを思わせる、ラインのはっきりしたハ…

冥界鉄道の旅

大谷能生さんから未発表の「鏡の国のデューク楽団」。1942年、デューク楽団の旅物語。大城のぼるの「汽車旅行」のように楽しく読み進めていくと、なんとこれが、死者がレコードに針を落として生者を蘇らせるという話なのだ。おもしろかった! これ読んでから…

トークの視線

2003版収録の「松嶋尚美がタイで番傘の値段をふっかけられた話」というのを分析した。 話の前半では、松嶋尚美は観客のほうを向いて、TV収録で行ったタイのマーケットで番傘を買ったエピソードを語っている*1。ところが、よその店ではるかに安値で売っている…